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父の血尿 [健康]

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2014年の10月の末、父親がつけている
オムツに血尿がついていたと母から聞いた。
最初発見したときは血の柔らかい塊だったとのこと。
原因を聞いてもわからない。
昨夜風呂場で滑って、横腹を打ったのが
原因だろうかと母は言う。

そのうち2、3日で終わるだろうと、おさまる
のを待っていたが量は少なくなったがまだ
尿に血に混じっている。

なにか原因があるはず、と行きつけの町医者に
診てもらうと、レントゲンにうっすらと尿管から膀胱の
入り口付近に直径4センチ前後の塊が写っている。

先生が答えるには、専門医に行って
詳しく見たほうがいいです。
もしかするとこの影は癌かもしれないですねとの事。

今まで父親を苦しめていたのは、脊柱管狭窄症という
症状で長く歩けないことだった。
農業現役のころから腰を酷使してきた生活環境の中、
母が夜、いつも父の腰にサロンパスを
貼ってあげていたのを覚えている。

水田や畑の見回りに近くを回って帰るのが精一杯
の状態で、車の運転も数年前にやめていた。
腰痛との付き合いは、父にとって今後避けられない
と本人も家族も観念していたが、
ここにきて大きな転機となってしまった。

九十才になって今まで全く予期もしなかった
癌が膀胱にできていたとは!

泌尿器科の専門医を尋ねたところ、膀胱摘出を
勧められたが、この年になって摘出は大変だろう
と断り、治療を受けないとなれば在宅治療となり、
母への負担が重くなるが、父は家方に居る方が
気が休まる。

我々子供たちは父の病状が気にかかり、
母の負担も心配になってくる。

そうこうしていたある日の夜、
「父ちゃんが苦しんでいる」と母から電話がかかり、
帰るまで時間がかかるのでとりあえず近くの
親戚に電話をして救急車を呼び、夜中に
病院に駆け込んだことがあった。

こんな苦しみはさせられないと、
もう一度断った先生に入院を願い出たが、
膀胱を取らない以上はうちでは
面倒見ることができないと言われた。

理由はこのままでは必ず尿管がふさがり
腎臓不全になるとのこと。
わかりやすく図解して下さりよく理解できた。

しかし、膀胱摘出は避けたい。
その後も、免疫治療を考えたり、癌に効く
漢方食品を取り入れたりの在宅治療がまた続く。

癌を発見して8ヶ月後、父の食欲が急に落ちてきた。
もう3日程になる。
近くの行きつけの医者に見てもらうと先生は、声を
唸らせ「腎臓の機能が良くない、すぐに
透析しないといけない状態だ」との事。

紹介状をもらって泌尿器科の専門医
の治療を翌日受けるようになる。 

朝から検診が始まり血液検査、そして
尿検査と続く。困ったことに尿検査で尿が出ない。
父は絞りだすように息むが出てくるのは血液だけだった。

検査後の説明によると、とにかく透析が必要で、
直接背中から穴を開けて腎臓に管を入れるとのこと。

しばらくして先生からの報告があり、腎臓に針が
入らないということでこれは諦めるしかなかった。

次の日、足の付け根から入れるという。
今度はなんとかうまくいき、全血液の3分の1位か、
とにかく全部の血液を透析するのは無理がある
とのことであった。
一段落ついてその日は帰った。

次の日の朝、着替えを持って病院へいく。
しかし帰りに先生から呼び止められ、「昨夜、お父さんは、
息が上がり、血尿もあり、血圧が下がってしまい、
この状態だと透析は出来ない。

そして、この3日間どうなるかわからないので
親戚には知らせておいたほうがいいですね」と。

この日の夕方、近くの親戚の集まった中で
息を切らせながらの父だったが、最後の
言葉を交わすことができた。

いつかこの日がくると想像はしていたが、ついに現実となった。
多くの思い出、教訓を残してくれた父だった。




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