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母と野良猫の絆 [生き物の強さ]

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母と野良猫の絆

両親は専業農家で、村の中では堅物な真面目夫婦で通っている。
朝早くから夜遅くまで働く両親の姿を見て育った小生は、将来の子供の教育の為に働いているという事はよく知っていた。尋常小学校しか出ていなかった父親は、家の都合で学問を極めていくことができず、そのような思いを子供にはさせたくないとつねずね言っていたからだ。

そんな我が家に、一匹の白と黒のまだらのメス猫が家の近くに住み着くようになったのに気づいた。
あるとき、学校から帰ってみると母が家の中でその猫を追い回している。隙間を縫ってその猫は外に逃げていったがそれをよそ目に、母に聞いた。「どうしたん?」
母は「あの猫が最近餌を狙って家の中までやってくる、困ったね」と一言。

田舎の家は今はそうでもないが、以前は鍵をかける風習などなかった。
その猫は、なんと餌を狙って戸を開けて入ってくるのだ。
準備した食事のおかずが荒らされるのは母にとっては我慢ならないらしい。

それもそうだ。朝一番に田んぼに出て、しばらくして朝食の準備で帰って終われば片付け、昼食の準備をしてからまた仕事。昼食に帰ってから片付け、夕食の準備をしてからまた仕事。
夕食が終われば片付け、洗濯、縫い物、朝食の準備などなど。休む暇がない。子どもを養う為父親と必死で働いている母親を見ると何も言えない。

そうこうして何日かたったある日、庭の片隅に猫の餌らしきものが備えられていた。これをしたのは母親しかいない。なんで追い回していた猫にこんなことを?

解答はすぐに解った。夕方、なんとそこには例の猫が餌を食べに来ていたが、そのそばにはおどろくなかれ!3匹の生まれたての赤ちゃん猫がオッパイをのみながら寄りそっていたのである。
3匹の子猫の命は、母親に追い回されていた母猫に託されている。母は、子育てのために必死で生きている母猫と、自分とが重なってみえたのかもしれない。

この猫の親子の絆を通して両親からの愛情を教えられた。あの母猫と3匹の子猫は今頃どうしているだろうか?




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