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小鳥と蛇 [生き物の強さ]

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小鳥と蛇

日々の生活の中では、煩わしい人間関係より自然の世界に心が向く小生は鳥の観察や
小川での魚捕りが好きだった。

野鳥とはなかなか近寄ることができないので家で小鳥を飼うことにした。
手引書を見るとまず飼いやすい種類の鳥から始めると良いとのこと。
それは十姉妹であった。

さっそく近くのペットショップから籠、餌を買い、つがいの十姉妹を手に入れてくる。
勉強部屋の中で一緒に生活が始まる。オスの鳴き声に癒されながら飼っているうち、巣の中に5から6個の卵が生まれた。交代で仲良く卵を温めている。本能とは言えよくできているものだ。

あるとき部屋で休んでいると、天井のパネルの隙間から紐のようなものが出たり入ったり。
一体何だろう?
不思議に思っただけで深くは考えなかった。その隙間とは、以前天小生が天井裏で遊んでいるとき足を滑らせて誤ってパネルを踏み、へこませて隙間を作ってしまったのである。

そのままにしていたのが良くなかった。数日後、早朝から胸騒ぎがする。よく寝られず、鳥小屋を見るとなんと蛇が入り込んでいた。

なにか騒がしかったのは鳥が暴れていたからであった。当然蛇の仕業であるが、止まり木に止まっていたのはオスの十姉妹のみで、あばれつづけたようで止まり木にぐったりした様子ですくんでいた。

一方蛇は金網の隙間から出られなくなっている。膨らんだお腹のため、首から先だけ出してあえいでいるようだった。そのお腹には言わずと知れた母十姉妹と温めていた卵が入っているのである。

はっと、その時気がついた。
以前天井で動いていた紐のようなものは実は蛇のしっぽだった事を!
その時には既に小鳥の匂いを嗅ぎつけていたのだ。

テレビでよく見る野生の動物の凄惨な生き様を身近に見たようで、オスの十姉妹にはもう一度、メスの十姉妹を迎えさせてあげた。
今度は無事に5羽のひなを産んでくれた。




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