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祖母の思い出 [嫁と姑の絆]

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祖母の思い出

昔は我が家では蚕を飼っていた。
両親の農作業の傍らで、祖母は家内での作業に励み、家計の助けとなっていた。

一生懸命に桑の葉を取ってきて、棚に広げた蚕に与えるのが日課だった。
小生は小さい頃、祖母の背中に背負われていたおぼろげながらの記憶がある。

そういう生活が当たり前のようになっていた頃、
祖母は小生を床においてなにかの作業に集中していた時
、まだ小さかった小生は、這い回っていたのだろう、イロリに落ちてしまった。

目の前に真っ赤に焼けた炭火が見えたことだけは今も記憶の中に残っている。
姉の話によると、父親が田んぼからとんでかえってきて、民間療法の尿をぬったらいいとか、醤油のほうがいいとか、慌てふためいていたようだ。

数時間後病院に行った頃は、左手は大きく水ぶくれしていた。振り返ってみんなが語るときは、グローブのような手になっていたよと、大げさな話になる。

やけど直後、祖母は責任を感じてか、近くの神社に火傷が早く完治するように早朝のお百度参りの願をかけたという。

そのおかげか、火傷の痕跡は跡形もない程よくなった。医者によれば水膨れを破らなかった事がよかったと言っている。とにかく野口英世のような障害まではいかなかったが今となっては忘れられない体験だった。

火傷に限らず、たまに風邪をひいたときは、今のようにすぐ薬が手に入る環境でもなかった我が家では、母が米のとぎ汁をタオルに湿らせ額を冷やしてくれるのが習わしだった。
その祖母も歳を重ねていくうちに痛風を患い寝込むことが多くなった。

やがて背中には床ずれができて食事は母が世話をしなければならなくなった。嫁姑の葛藤のある我が家だったが、最後には祖母は食事の前に母に手を合わせるようになっていた。




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